独学から世界一まで昇りつめた
原動力とは?
路上から始まったサクセス
ストーリー

幾多のシューズを輝かせてきたその人柄は、しなやかな手元の所作と、屈託のない笑顔に宿るよう。
靴磨きで世界を制した長谷川裕也さんの焼けた肌に、NUDE SILVERの柔らかい風合いが寄り添う。
時間と愛着の魔法のような関係が作り上げる、美しい足もとの秘密について教えてくれました。

長谷川裕也_1
長谷川裕也_1

―サイズは小さくとも、アイデンティティを雄弁に物語るジュエリー。こだわりなどありますか?

まず、ジュエリーは綺麗。でもだんだんくすんで増える傷が、自分の皺となじんでくる気がします。
18歳で社会人になり上質な時計を頂いたのですが、スケボー中も着けていたので傷だらけに。でも何年も経って今また着け始めて、傷も含めてかっこいいなと思っています。
きっとジュエリーも同じだと思う。今回着けたブレスレットはシンプルなのにさり気ない個性があって好きですね。エレガントな雰囲気なのでジャケットにも合うし、少し気取って (笑) 行くバーなど暗い場所でも上品に輝くはず。
ジュエリーは女性向けと思う方もいるかもしれないけれど、さらっと着けるだけでこんなに気分が変わる品はないので、男性にも新鮮なのではないでしょうか。

長谷川裕也_2
長谷川裕也_2

―ジュエリーと同じく、靴も人のアイデンティティを雄弁に物語るアイテムの筆頭ですね。

小物にはそういう側面がありますよね。
靴だと、磨いている時間と放っておく時間のバランスが「らしさ」を作っていく。
このシルバーも放置して黒くなるのも素敵だと思いますが、磨いてあげると陰影がでてより美しくなるはず。ものとの付き合い方に、その人自身が反映されると思います。
お手入れがすごいと「几帳面な人だな」、逆だと「大らかな人かも」と靴を見ればすぐに伝わるもの。
愛情をもって履かれた靴は、こなれて艶や味わいが出てきて心地よく育っていく。ピカピカを保つのも素敵だけれど、経年美化とは少し違うと思う。
自分自身も、「味のあるかっこいいおじさん」に憧れます。ただ、「昔はかっこよかったのに」となる人も多いように、やはり難しいことですけれど……。

長谷川裕也_3
長谷川裕也_3

—では、美しい経年美化を生む必須条件とは何でしょうか?

メンテナンスと同じく、ベースの素材の質は重要です。バリバリに割れていても根気よく磨き続ければ金継ぎのようなすごいオーラを放ったり、シミやシワが馴染むのも、いい素材あってこそ。
あとは、時間でしょうか。例えば今日持ってきたシューズは20年前のものですが、新品にはないオーラがありますよね。
加工では叶えられない、徐々に時間をかけるからこそ出る、本物の艶に近道はありません。
革に限らず、シルバーやジーンズなどの天然素材は、使い込むほどに変化していくのが魅力。自分がものを選ぶときも「60歳の自分がこれを使っていてもかっこいいか」と、少しこなれて味がでるのを想像する。
未来の自分には馴染んでいるものを身に着けてほしいから、今買って「育てる」という強く感覚はありますね。

長谷川裕也_4
長谷川裕也_4

―独学で靴磨きの技術を会得し、世界一まで昇りつめた長谷川さん。その原動力と、この先の展望は?

路上での靴磨き中は下に見られることが多かったのですが、自分では「いいものを美しくしている」感覚だったので、悔しくて。
実は大好きなザ・ブルーハーツの「ルール破ってもマナーは守るぜ」が座右の銘なくらい反骨精神があり (笑) 、「靴磨きの地位を上げてやる」と思ったんです。
単純に靴磨きがもっと上手くなりたかったし、技を盗んで咀嚼して、考えて、改良してを繰り返していたら世界一になっていた。
そして今、もう一度自分にプレッシャーを与えるという意味でも、20歳で始めた靴磨きを、40歳で引退すると前々から告知しています。
少し違う関わり方で、お茶のように靴磨きを道にして、芸術的な表現やお稽古もできたらと。
職人は一つを突き詰めることが美徳という面がありますが、僕はビジネスマンでもある。前に進みたいという気持ちに、嘘はつけないんです。

長谷川裕也_5
長谷川裕也_5

着用アイテム

プロフィール


長谷川裕也/シューシャイナー、「Brift H」代表

1984年生まれ。20歳で東京丸の内の路上で靴磨きをはじめ、2008年に南青山に靴磨き専門店「Brift H」をオープン。2017年靴磨きの世界大会で優勝を果たす。NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』等の出演や著書の出版など通し、シューシャインの文化と魅力に関して発信中。

衣装:RANDY

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