PICK UP ITEM
| 2019. 04. 19
建築家 隈研吾さんに聞く、ジュエリーと建築の意外な関係。
建築家 隈研吾さんに聞く、ジュエリーと建築の意外な関係。
interview

2009年から、ヴァンドーム青山の
『Kengo Kuma+MA, YU by Vendome Aoyama』というラインで、
ジュエリーをプロデュースされている世界的建築家の隈研吾さん。
建築とジュエリー。大きさも、性質も異なる対象をデザインする上で感じていること、また、新たな可能性を伺いました。

“僕は小さいものに、すごく興味がある”

― 建築とは違う、ジュエリーのデザインやプロデュースをはじめられた理由を教えて下さい。

ヴァンドーム青山の山田社長に声をかけて頂いて、まず印象として、楽しそうだなと感じたことがきっかけです。僕の建築からヒントを得て、小さなものにするっていうのは面白いですよね。僕より上の世代の建築家は、大きいものに興味がある人が多いんだけれど、僕は小さいものに、すごく興味がある。前から家具もデザインしているんだけれど、もっと小さいものだったら何がデザインできるだろうって考えていたんです。だから、人が身に着けることができるぐらい小さい、ジュエリーという分野に魅かれたんです。

― 新作のジュエリーは、隈さんが2018年に発表された、空気中の汚染物を吸着する布を使った「Breath/ng」という作品からインスピレーションを得ていますが、その「Breath/ng」を創ったきっかけは?

世界中にCADのシステムを売っている、フランスのダッソー・システムズという会社があり、僕らもそのシステムを使っているのですが、会社のシステムを伝えるようなインスタレーションをやってほしいという彼らの要望から生まれた作品です。この素材は、ダッソー・システムズから提案があり、「こんな面白い素材があるのか」と魅かれたんですね。この素材を使って、彼ららしい有機的な形が作れたら楽しいんじゃないかと思ってできたのが「Breath/ng」です。

ー「Breath/ng」をジュエリーに落とし込む上で大事にしたことは何でしょうか?

一つは、「Breath/ng」からインスピレーションを得たことがわかるように調整した、プリーツの寸法です。もう一つは、テクスチャーの粒子の寸法。小さすぎると粒子感がなくなるし、大きすぎると粗っぽくなってしまう。適正な大きさを選び、デザイン全体としていいバランスをとることを意識し、ベストなものができたと思います。それって食べ物の切るサイズと同じだと思っていて、お刺身なんかも、小さすぎたら食べた気がしないし、大きすぎると美味しいと感じない。魚の種類によって適正サイズが違うじゃないですか。だから、素材そのものの堅さに応じた粒子のサイズというのが、すごく大事だと思っています。

“違う分野の人がデザインするからこその自由度が、可能性に繋がる”

ー ヴァンドーム⻘⼭とジュエリーデザインをされるようになって、まもなく10年。ジュエリーをデザインする上での⾯⽩さを教えて下さい。

建築では使わない、知らなかった素材に出会えることですね。ジュエリーだからこそ使う、使える素材が多くて驚きました。それと、何が売れているかを知ることができるのも面白い。建築の場合は、出来上がったら、どんな人達に喜ばれているのか明確にはわからないけれど、ジュエリーは、売り上げが数字で出ますよね。そういうことは、今まで僕らは経験したことがなかったから。柔らかい曲線のデザインのものがロングセラー商品になっていたりして、時代の流れを感じたり、新たな発見にもなります。

ー 建築でできてジュエリーではできないこと、またジュエリーでできて建築でできないことに関して、どうとらえていますか?

そういうことは、いっぱいありますよね。でもだからといって、建築から切り離して何もイメージソースがないところからジュエリーをデザインするのではなくて、こういう建築があって、それをどうにかジュエリーに落とし込もうと試⾏錯誤する⽅が、バラエティが広がると思うんです。今回の新作も、初めは難しいと思ったけれど、新しい素材を知って可能性が広がったことで完成しました。違う分野の⼈がデザインするからこその⾃由度や化学反応が、可能性に繋がると思ってデザインしています。

ー 隈さんは建築では環境に溶け込むことを重要視されてるとおっしゃっていますが、女性が身に着けるジュエリーでは、何を重要視してデザインされていますか?

質感や、⾝に着けた時のバランスなどを、近くで⾒て確認することです。建築では、近くでものを⾒て判断するというより、遠くで⾒て全体をとらえて判断するので、ジュエリーデザインを通して新たな習慣が⾝に付きました(笑)。そういう新鮮な習慣は、建築をデザインする上でも役に⽴っていくことだと思います。ジュエリーの分野が、本業である建築に新たな⾵を吹かせてくれることは、多いですね。

ーどんな女性に身に着けてほしいなど、具体的に考えてデザインしていますか?

そのような特定はせず、⾊々な⼈に選んでもらえたらと思っています。建築という、年齢や性別を問わないものをイメージソースにしているので、「KengoKuma+MA, YU」のジュエリーは⽼若男⼥が着けられる幅の広さが魅⼒だと思います。

“好奇心を大事にして、新しいことに挑戦する。そうすることで、新しい扉が開ける”

― 常に新しい素材を探求し建築されていますが、お忙しい中でどのように探されているのでしょうか?

⼈って、⾃分で探せる範囲は限られると思うんです。リサイクル素材を使って内装を⼿掛けた吉祥寺の「てっちゃん」も、店主が親しいリサイクルショップを紹介してくれたところから思いついたものです。建築家は有名になってしまうと、今までの⾃分の枠の中でしか仕事をしなくなったり、わざわざ新しいものを探さなくなったりする⼈が多いんです。でも僕は、新しい素材に出会うために⾊々なところへ出歩くようにしているし、好奇⼼を⼤事にして、新しいことに挑戦するようにしています。そうすることで、新しい扉が開ける。ヴァンドーム⻘⼭のジュエリーをデザインさせてもらうようになったのも、その⼀つですよね。好奇⼼をもって、今まで知らなかった⼈に会うと、知らない世界が広がっていくのだと思います。

新しい素材や事柄に出会ったら、メモをとるのではなく、頭に留めておきます。頭に引っかかって、⾯⽩いなぁ、どこかに使えないかなぁって思っていると、何かあった時にひらめいて、繋がるんです。夢中になったものは、メモをとって保険をかけるのではなく、頭に引っかけておくことが⼤事だと思います。

— 今、新たに注目している素材やジュエリーのデザインはありますか?

まず⼀つは⾦属。同じ⾦属でも⾊々な種類があって、可能性を感じています。最近建築でも使うようになっていて、例えば、今進⾏している京都のエースホテルは、ブロンズがテーマです。ブロンズにも様々な⾊、質感があるので、探究しながら設計しています。

あと、セルロースアセテートという⾃然由来の素材も⾯⽩いと思っています。ジュエリーの世界にしかない、建築の世界にはない素材。樹脂ってすごく⼈⼯的な気がするけれど、これは樹脂なのに、すごく⾃然な⾵合いがあって、興味をもっています。

ジュエリーのデザインで⾔えば、直線的なものにはまだまだ可能性があると思います。曲線は有機的で⾃然で、直線は有機的じゃないと思われがちだけれど、それは違うと思う。直線でも有機的なものはあると思うから、それをうまくデザインに使うようなものに注⽬していますね。

ー 青山という土地は、ブランド名にもなり、旗艦店もあるのでヴァンドーム青山にとって、特別な地。
隈さんの事務所も青山にありますが、隈さんにとって、どういう存在の街でしょうか?

渋⾕から⻘⼭にかけての⼟地は、学⽣時代から、テニスをしたり、仲間と遊ぶ場所だったから特別な街だと感じています。ここがもっている雰囲気は、六本⽊とも新宿とも違う。都会だけれど⾃然もあって、ある種の優しさみたいなものがある気がしますね。事務所があるということは、ヴァンドーム⻘⼭さんにとってもそうであるように、やはり、⾃分にとってのイメージソースになっている場所だと思います。

PICK UP ITEM! ピックアップアイテム

No.01 「Breath/ng」見る角度によって輝きが変化する、布のようなプリーツが魅力

イメージソースとなっているのは、2018年のミラノサローネで発表された、空気中の汚染物質を吸着させる布で設計された「Breath/ng」という作品。表面積を多くするためにプリーツが施された、立体的で有機的なデザインをジュエリーで再現。表面の細かすぎず、粗すぎない絶妙なテクスチャーが、柔らかく光を反射し、見る角度によって印象が変わるジュエリーです。ボリュームのあるデザインなので、シンプルな服のポイントになりそう。

(左から)

Pierced earrings

Kengo Kuma + MA,YU
by Vendome Aoyama
ピアス
(silver925<Rhodium plating>)

Item Detail

Necklace

Kengo Kuma + MA,YU
by Vendome Aoyama
ネックレス
(silver925<Rhodium plating>)

Item Detail

Necklace

Kengo Kuma + MA,YU
by Vendome Aoyama
ネックレス
(silver925<Rhodium plating>)

Item Detail

Pierced earrings

Kengo Kuma + MA,YU
by Vendome Aoyama
ピアス
(silver925<Rhodium plating>)

Item Detail

NO.02 「Tsun-Tsun」木材の角柱を思わせる有機的な柔らかさと、洗練された都会感が両立 NO.02 「Tsun-Tsun」木材の角柱を思わせる有機的な柔らかさと、洗練された都会感が両立

スターバックスコーヒー太宰府天満宮表参道店

伝統と革新が融合された設計で話題となった「スターバックスコーヒー太宰府天満宮表参道店」。そこで用いられている、日本の伝統的な木造技術をシルバーの角柱で表現したシリーズ。無駄なものをそぎ落とした洗練されたシャープなデザインと、柔らかさのある質感で表現された女性らしさが共存しているのが新鮮。温かみのあるゴールドの色味は、日本人の肌色になじみ、美しく演出してくれます。

(左から)

Ring

Kengo Kuma + MA,YU
by Vendome Aoyama
リング
(Silver925<Yellow gold plating>)

Item Detail

Pierced earrings

Kengo Kuma + MA,YU
by Vendome Aoyama
ピアス
(Silver925<Yellow gold plating>)

Item Detail

Ring

Kengo Kuma + MA,YU
by Vendome Aoyama
リング
(Silver925<Yellow gold plating>)

Item Detail

Necklace

Kengo Kuma + MA,YU
by Vendome Aoyama
ネックレス
(Silver925<Yellow gold plating>)

Item Detail
スターバックスコーヒー太宰府天満宮表参道店

No.03 「TEEHAUS」存在感のあるアシンメトリーな金属の曲線で、定番のパールも新鮮

TEEHAUS(フランクフルト工芸博物館)

移動可能なコンテポラリーな茶室「Teehaus」。そのオーガニックなフォルムをイメージソースに、パールを使用してデザインされたシリーズ。作品の特徴である、ゆがんだ繭のような形状を、アシンメトリーな金属の曲線、ピュアな印象のパールで表現しています。きちんと感のあるパールでありながら、大胆でユニークな曲線との組み合わせで、カジュアルなファッションにもなじむデザインに。クリーンなホワイトゴールドカラー、女らしいイエローゴールドカラーの展開です。

(左から)

Pierced earrings

Kengo Kuma + MA,YU
by Vendome Aoyama
ピアス
(Silver925<Yellow gold plating>
x 淡水パール)

Item Detail

Necklace

Kengo Kuma + MA,YU
by Vendome Aoyama
ネックレス
(Silver925<Yellow gold plating>
x 淡水パール)

Item Detail
TEEHAUS(フランクフルト工芸博物館)

隈 研吾さん / 建築家 Kengo Kuma

1954年生。東京大学建築学科大学院修了。
1990年隈研吾建築都市設計事務所設立。現在、東京大学教授。
1964年東京オリンピック時に見た丹下健三の代々木屋内競技場に衝撃を受け、幼少期より建築家を目指す。大学では、原広司、内田祥哉に師事し、大学院時代に、アフリカのサハラ砂漠を横断し、集落の調査を行い、集落の美と力にめざめる。 コロンビア大学客員研究員を経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所を設立。これまで20か国を超す国々で建築を設計し、日本建築学会賞、フィンランドより国際木の建築賞、イタリアより国際石の建築賞、他、国内外で様々な賞を受けている。その土地の環境、文化に溶け込む建築を目指し、ヒューマンスケールのやさしく、やわらかなデザインを提案している。 また、コンクリートや鉄に代わる新しい素材の探求を通じて、工業化社会の後の建築のあり方を追求している。

  • SHARE
  • twitterでシェアする
  • facebookでシェアする
  • ラインで友達に送る

STAFF

Photo/interview: Hideyuki Seta
Photo/still: Hidetake Nishihara(TENT)
Text: Ayako Ajisawa
Edit: Madoka Takano(FMJ STUDIO)
Web Design & Development: Jomon (FMJ STUDIO)
Creative Direction: Yuki Sugawara (FMJ STUDIO)

HOROSCOPE

若い女性を中心に人気の占い師、ルーシー・グリーンさんが監修する週間占い。毎週月曜更新で、12星座の運勢をお届けします。占い結果は、ヴァンドーム青山のオリジナルキャラクター、くまの“テオくん”がナビゲート。ラッキーアイテムとともにあなたの運勢を解説します。