the first love
出逢った瞬間に
「あ、私、この人と結婚するんだなぁ」
なんて想えるような
ロマンティックな展開なんて、
映画やドラマの
世界だけに起きる出来事だと思っていた。
なのに、
私の生きる現実世界にもそれは、起きた。
これまでの人生で
私が経験してきた
哀しみも、怒りも、苦労も全て
彼と出会い、結ばれるためだったのだと
決して浮かれ立つこともなく
何よりも現実的なこととして
私の中に深い確信としてただそこに在った。
それまでは、
“与えてばかりの恋愛”ばかりだった。
2人の未来も
私への愛もない
どこか温もりに欠けた人ばかりを愛してきた。
そんな恋愛を続けるうちに
本当は、
誰よりも愛する人と
温かく賑やかな家庭を築くことを夢見ていたのに
いつからか
「キャリアウーマンは結婚のタイミングが難しいよね」
という周囲が与えてくれる「免罪符」を
自らかざすようになっていた。
「結婚しようと思えばできるけれど、あえてしない」
そんなスタンスを貫いている
「都会の女」を演じていた気がする。
欲しいものと欲しいと言えない。
そんな自分が大嫌いだった。
あの日、
私が初対面の男性に
あれほど安心できたのは、
生まれて初めての経験だった。
まるで
何年も前から一緒にいるような、心地の良さ。
「この人だったのか」
穏やかに訪れた、揺るぎない確信。
そうして
そうなることが
あらかじめ決まっていたように
初めましての日から10日目。
会うのは2回目の日に、私たちは婚約した。
そんな私たちの初めてのデートは、
結婚指環を見に行くこと。
2人で1日がかりで
何十軒も巡り、
一番好きな指環を
せーの、で言い合った。
ほら、やっぱり。
同じ。
こんなこと、初めて。
彼と出会ってからというもの
私の人生は「初めて」尽くしになった。
私たち、
これからも
こんな風に2人で
たくさんの「初めて」を重ねていくのね。
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text :
小寺智子
1983年生まれ、北海道出身。編集者。O型。
INSTAGRAM:@tomoko_kodera