Loading...
How are you?
2023.04.24

How are you?

女の恋愛というものは、
つくづく
「上書き保存」だなと思う。

この連載を始めてから
一話くらい私自身の
「私とジュエリー」の話を
書いてみたいと思い立ち、
過去の恋人との
想い出のジュエリーと
そのエピソードを
思い出そうと
試みてみたのだけれど・・・
さっぱり浮かばない。
1つも浮かばない。

それもそのはず。

私は、
ひとつの恋愛が終わると
真っ先に
ジュエリーを処分するタイプだ。

プレゼントといえば
「毎日身につけるものがいい」
と、自分から
ジュエリーをおねだりするくせに、
別れを決めた途端
想い出と共に投げ捨ててしまう。

私にとって
「恋人とジュエリー」は
最も色濃く残る記憶の欠片なのだ。

そんな私にも
もう手元にはないけれど
唯一
鮮明に思い起こせる
ひとつのジュエリーがある。

17歳の時に
生まれて初めてできた彼が
修学旅行先である沖縄で
お土産として
買ってきてくれたペンダント。

別の高校に通っていた
1つ年下の彼。

その後、
私たちはなんと約8年間
お付き合いすることになるのだけれど

そのペンダントは
チャーム部分が
縦長な透明のカプセルのようになっていて、
その中に入っていたのは
水に浮かんだお米の粒。
そして
その小さな小さな粒自体に、
彼と私の名前が書かれていた。

「すごいすごい!」
「こんなに小さなものにどうやって文字を書くの?!」

「同級生がいる前で彼女へのプレゼントを買うの
恥ずかしかったなぁ・・・」

友達に冷やかされながら
そのペンダントを買う彼の姿が
あまりにも想像できて、
私は、大笑いしたことを覚えている。

その後、
当時大流行していた
ティファニーのオープンハートや
憧れていたペアリングも
いただいたけれど、
初めてもらった
世界に1つしかない
そのペンダントを
私はずっと大事にしていた。

お互いの両親は、
私たちが初恋を実らせて
そのまま結婚すると思っていたらしい。

けれど7年後、
24歳になり
編集者になった私は
上京後、1年を待たずして
彼との別れを決めることになる。

今でも時折
「元気かな?」と
記憶の中の彼の顔を浮かべることがある。

ジュエリーはもうないのに、
唯一思い出すことがあるのは彼だけ、だ。

私はずっと、ただただ彼のことが大好きだった。
彼もずっと、ただただ私を大切にしてくれた。

思い返すたびに
初めての恋人が、
彼のような人で本当によかったと実感する。

その後、
いくつかの不幸せな恋愛を
経験したからこそ
彼の素晴らしい人間性や
私がいかに幸運だったかを
何度も何度も
思い知らされることにもなった。

元気かな、私の初恋の人。

どうか、あなたも幸せでいてね。

_
text :
小寺智子
1983年生まれ、北海道出身。編集者。O型。
INSTAGRAM:@tomoko_kodera

未入力の 件あります