Blood type “O”
2023年最後の最強開運日に、
一番の親友が、結婚した。
30歳を過ぎた頃に出会い、
同じ1月生まれのO型同士、
すぐに親しくなった私たち。
元々、
お互い「結婚」に対して、
いわゆる年相応の焦りはなかった。
それは
30代後半になってもさほど変わらず、
「50歳になって
お互いに独身だったら
ユートピアみたいなところ
作ろうか〜」
なんて、話していたくらい。
よく手入れされたお庭とテニスコート。
いい気の巡るエステサロン。
お洒落なカフェとバー。
可愛いお花屋さん。
そして、
みんなで入れる温泉があって、
それぞれに目の届く場所で
お互いを見守り合う。
そんな小さな私たちの街を作り、
モダンな余生を送りたいと
本気で考えていた。
ちなみに、
その構想は
結婚した今でも、変わらずある。
いつか叶えたい、私の夢だ。
・・・
彼女の名字が変わる2日前の夜。
「まさか
私たちが同じ年に結婚するなんてね〜」
「しかも
智ちゃんの方が先なんてね〜」
と、
私たちは
お酒を酌み交わしながら
笑い合った。
それもそのはず、
交際ゼロ日婚の私と
長年、堅実な交際をした上で
穏やかなゴールインをした親友。
性格も生き方も
真逆な私たちだけれど、
彼女は、
私にとって、
かけがえのない「本物の友達」だ。
数年前、
私が話題の写真集を担当し、
にわかに注目を浴びて
戸惑っていた時に、
彼女が私にかけてくれた言葉がある。
「智ちゃんが
これまで編集者として
著者と真剣に向き合ってきた結果を
今回、みんなが知るところになった、
それだけだよ。
智ちゃんは、
ずっと変わってないから大丈夫」
私自身は
何も変わっていないはずなのに、
周囲から
私という人間のキャラクターを
勝手に形作られているような、違和感。
そんな、生まれて初めての感覚に
困惑していた当時の私が、
彼女のその言葉にどれほど救われたか。
そんなふうに
彼女は、物事を常に
フェアな眼差しで見つめながら
私をフラットな場所に戻してくれる。
・・・
「そういえば
友達のデザイナーさんに
オーダーしていた結婚指輪、届いたの?」
「あ、まだ連絡来てないなぁ...」
「えっ!入籍日に指輪、なくていいの!?」
「まぁ、気長に待つよん」
「ねぇ、
『なんとか入籍日に間に合わせたいんです!』
と、ジュエリーショップに拝み倒し続けた
私たちとの違い...(笑)」
2日後、
無事に入籍を済ませた彼女から
「無事提出」
というメッセージと共に、
婚姻届を持った
2人の写真が送られてきて、
またもしっかり笑わされた。
なぜなら、
2人がものすごい普段着だったから。
親友は、デニムにサンダル(好き)。
旦那さんに至っては、
Tシャツとショートパンツに
ビーチサンダル(もっと好き)
厳粛な気持ちになりすぎて
スーツとワンピースという一張羅で
婚姻届を提出しに行った
私たちとは、どこまでも対照的。
親友よ、改めて結婚おめでとう。
これからは家族ぐるみ!
残りの人生も
変わることなく
心地良い時間を重ねていこう。
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text :
小寺智子
1983年生まれ、北海道出身。編集者。O型。
INSTAGRAM:@tomoko_kodera