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Woman vol.12
2024.10.18

vol.12

美しい女性が好きだ。

街行く人を眺めていても
ふと、
視線が引き寄せられるのは
昔から
美しい男性ではなく、女性。

振り返れば、
私の人生にはいつだって
私自身をいい人間、いい人生に
確かに導いてくれた
「ミューズ」の存在がある。

この連載では、
そんな、実在する
私の人生において不可欠な
「women」を
愛と感謝を込めて
ご紹介していきたいと思う。

・・・

この1年間で
私の人生を大きく変えてくれた
大切なミューズたち11人に
ラブレターを
書かせていただいてきた。

そして遂に、
今回が最後のラブレター。

第12話目、最終話の女性は、
女優の田中みな実さん。

2019年12月に発売した
彼女の初写真集『Sincerely yours...』に
私は、担当編集者として関わらせていただいた。

この写真集が成し遂げた
発行部数61万部・女性写真集歴代1位という記録は、
この先もきっと、破られることはないだろう。

当時から
みな実さんと私の関係は、
「戦友」という言葉が
最もしっくりくる気がしている。

私の編集者人生において、
あれほどまでに、
文字通り二人三脚で
“伴走”させてくれた著者は初めてだった。

お互いが
究極的に“プロフェッショナル”としての
仕事を求め合い、応え合えたと
今でも胸を張って言える。

そしてそんな風に
チーム全員が無我夢中になり、
全てのエネルギーを注ぎ込んで
ひとつの妥協もせずに
作り上げることができた写真集で
日本一になれたという事実は、
私に編集者としての純粋なる自信を授けてくれた。

「私の信じるプロデュースの在り方を
これからも貫いていいのかもしれない」
と。

当時の私たちは
毎日、朝から晩までずっと
「どうしたら読者に喜んでもらえる1冊になるか」
について考え続けていた。

そして彼女は
「そのためにできることは全てやる!」
と力強く宣言し、
その言葉通り、
自宅でも、楽屋でも、移動中の車の中でも
「売りたい」ではなく
「届けたい」という
無垢な想いだけで走り続けてくださった。

そのあまりにも
一生懸命な姿を見ているだけで、
私は、場違いにも
よく泣きそうになっていた。

(こんなに一緒に、やってくれるんだ…)

本は、作ることよりも売ることの方が
ずっとずっと難しい。

けれど
「売るのは出版社の仕事」
そう考える著者は、いまだに多い。
彼女は、違う。

そして迎えた情報解禁日。
初日から信じられない部数の事前予約が入り、
大興奮する私の傍らで、
みな実さんはただただホッとしていた。

さらに全国7都市、
延べ2万5千人以上へのお渡し会を
ちょうどやり遂げた直後、
日本はコロナ禍を迎えた。

ある週末、
丸一日かけて2,000人へのお渡し会を終え、
帰りの新幹線でホッとしたのも束の間、
今度はファッション誌の連載の原稿を
書き始めた彼女を見て、
私はつくづく思ったのだ。

(あぁ、みな実さんには、きっと一生、敵わない)

・・・

「なぜ60万部超えのヒットになったのか」

そう聞かれるたびに、私はいつもこう思う。

「著者の覚悟も情熱も桁違いだったから」
と。

・・・

女優に転向して以降の
みな実さんの活躍ぶりは
改めて言及することでもないけれど、
彼女は
置かれた場所で、必ず花を咲かせる人だ。
しかも、大きな大きな花を。
だから唯一無二であり、
人は結局、彼女から目が離せないのだと思う。

そこに辿り着くまでに
どれほどの努力と苦難と葛藤が
あったのだろう、と想うと心がキュッと鳴る。

・・・

みな実さんへ

田中みな実という
魅力溢れる素敵な女性、
そして史上最強の著者と
巡り逢えたおかげで
私は、才能をパブリックにする仕事として、
編集者からプロデューサーへと
自分自身の在り方を
広げて生きることを決断することができました。

今の私の人生には、
5年前には想像していなかった
景色が広がっています。

今の私がいられるのは
全て、みな実さんのおかげです。

こうして同じ時代に生まれ、
切磋琢磨しながら
生涯忘れられない作品を隣で作れたこと、
心から感謝しています。

私と出会ってくださって、
そして信頼して下さって、
本当にありがとうございました。

みな実さんの幸せを、いつも心から願っています。

_
text :
小寺智子
1983年生まれ、北海道出身。編集者。O型。
INSTAGRAM:@tomoko_kodera

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